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山里くつきフォトレター

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生物多様性保全のための野生獣管理の取り組み


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高島市獣害対策協議会主催の獣害シンポジウム「農業被害対策から森林保護へ」へ参加してきました。
滋賀県内ではニホンシカの分布が拡大していますが、特に高島市はシカの密度が高くその被害が深刻な状況となっていることから、地域ぐるみの取り組みで獣害対策を、ということで朽木のやまびこ館で開催されたものです。
以前にもくつきの森での被害の状況をお届けしていますが、農業被害と比べてもより深刻ともいえるのが森林への影響です。
シカの生態は
①一夫多妻制でメスは1年に1頭を出産
②草食性で樹皮までも食べる
③ひたすら食べ、休んで反芻する、長い睡眠はとらない
④なわばりを持たない→密度高くなっても問題なし
⑤雪には弱い(大雪で死ぬシカが多い)
などですが、温暖化の影響で豪雪と呼ばれるような大雪が降らないことや、捕獲圧(猟師など)が減っていることなどの結果、シカの生息密度が上昇しているとのこと。
その増えたシカが森林地帯の下草を食べ尽くすことにより自然植生への影響が懸念されるとともに、林床植生の衰退がひいては土砂の流出へもつながってしまうといわれており、これによる水質への影響が琵琶湖のもおよぶのではと心配されています。
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シカの生態を探るためGPSをシカの首輪のつけての調査も行われていますが、調査によると、シカは集落周辺の1km2程度の比較的狭い範囲を生活圏に行動パターンも単純であることが解ってきたとのこと。
こうした行動パターンを参考に、シカの休息場や通過道で対策することで効果が出るとのこと。
高島市では、各集落でワナ免許を取ることを推奨していますが、やはり地域ぐるみでシカが増えにくい環境づくりに取り組むことが大切。
シカ対策は一朝一夕には解決出来ないと思われますが、地道な対策を積み重ねることで農業も林業も自然植生も守っていく必要を認識し、シンポジウムをあとにしました。

くつきの森でのシカの影響はこちら
by gonkappa | 2010-02-11 22:00 | 朽木でのイベント
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